10/29 通常練習

秋のイベント、残す「大物」はあと一つとなりまして、11月23日のワヤンに向けての練習に専念できるようになりました。この日から、先週組み立て済みのクリル(ワヤンに使う白い布スクリーン)を使用しての練習が始まりました。ダラン(人形遣い兼語り手)のスミヤントさんのオリジナル曲もちりばめられていて、古典曲とは勝手も違います。細かく確認しながらの練習となりましたので、結局ヌム・ソンゴ・マニュロ(ワヤンは構成上大きく3部分に分かれていて、それぞれの部分にはガムランの「調」が一つずつ対応していて、この3つはその調の名前です)の3部分のうち、マニュロの部分はほとんどできませんでした。

私事ですが、スミヤントさんと知り合って12年になります。2007年に初めて一緒に目黒でワヤンをやり(その時は30分の短いワヤンでした)、それから何度もスミヤントさんのワヤンの伴奏をしていますが、だんだんバージョンアップ(ストーリー構成、人形操作、日本語の語り、など)していく過程に立ち会えたことになります。でもやはり、一番の飛躍は今年3月2日の朗峰会館でのワヤン公演だったのではないかと思います。すべて日本語で語る、というのは彼の一貫したスタイルですが、ジャワ人のダランが居住国の言語(つまり外国語)にて全編語りをするのはスミヤントさんが世界で初めてかもしれません(少なくとも日本では初めてのはずです)。

今回もすべの語りは日本で行われます。「ジャワ人のダランによる日本語の語り」についてはなかなかそういうことを宣伝する機会がありませんので、ここでもう一度言及しておきたいと思います。プログラムの解説を見たり、人形操作を見ていれば、語りが全部ジャワ語であっても話の展開はわかるのは事実だと思います。ただ、やはりワヤンは語りものの要素も強いですから、ダランが何を語っているのか、どういうメッセージを発信したいのか、ということはリアルタイムでもれなくお客様にわかっていただけて初めてワヤン上演の目的が達成されたことになると思います。そう言った意味でも、スミヤントさんとの日本語ワヤンはこれからもずっと続けていきたいと思います。(AS)